冤罪の死刑囚たちのために闘う弁護士ブライアン・スティーブンソンが起こした奇跡の実話を豪華キャストと『ショート・ターム』監督が映画化した『Just Mercy』が、『黒い司法 0%からの奇跡』の邦題で2020年2月28日（金）より全国公開することが決定。このたび予告が公開された。 この記事では、「人種差別」（主に黒人差別）をテーマにした映画を紹介しています。黒人の人々は、奴隷のようにひどい扱いを受けてきた歴史を持ちます。現代の世界では、「人種で人を差別してはいけない」という基本的な考え方が定着していますが、このような平等な世界になるまでには、多くの人々の勇気ある行動がありました。映画を通して、黒人の人々がどのような道を歩んできたのか学んでみましょう！1839年に実際に起こった「アミスタッド号事件」を元に作られた映画『アミスタッド』。アフリカに住む人々が、奴隷としてアメリカに強制的に連れてこられるまでの過程を描いており、リアルな描写から過去の歴史を学ぶことができます。アフリカで生活する青年のシンケは、ある日突然白人の男たちに拉致され、53人の仲間達と共にアミスタッド号に奴隷として積み込まれます。船の乗組員たちは、シンケ達を鎖でつなぎ、狭い倉庫に詰め込んで、まるで物のように扱いました。そんな中、船が遭難し乗組員達は大混乱に陥ります。その隙をついて、シンケは自分や仲間の鎖を外し、次から次へと乗組員を惨殺していくのでした。数人の乗組員を生かし、アフリカに戻るよう指示をしたシンケ達でしたが、乗組員は彼らを騙してアメリカに船を向かわせます。その結果、アメリカで投獄され、裁判にかけられることとなったシンケ達。しかし、その様子を見た元大統領のジョンは、弁護士・ボールドウィンと共に、シンケ達の自由を取り戻そうとするのでした。『アミスタッド』は、アフリカの人々がどのような手段でアメリカに連れてきたのかということに興味がある方におすすめの作品です。実話を元にしているということもあり、とてもリアルに奴隷船内での様子が描かれています。一度見たら二度と忘れないような残酷なシーンがたくさん登場します。特に衝撃的だったシーンは、奴隷船内で食料が無くなった時、乗組員が生きている黒人の足に重りをつけて、海に投げ捨てていく場面です。たくさんの黒人が一列に鎖に繋がれ、一人が海に投げ入れられると、後に繋がれている人も、次々と引きずり込まれるように海に吸い込まれていきます。目を覆いたくなるようなシーンが多い『アミスタッド』ですが、結末はハッピーエンドです。とても勉強になる映画ですので、どうぞ安心して最後まで見てみてくださいね。黒人の歴史を語るうえで欠かすことのできない人物、キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア。「I have a dream.」から始まる彼の演説は、学校でも教材として扱われるほど有名です。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアがどのような活動を行ってきて、どのような苦しみを経験してきたのか、『グローリー/明日への行進』を通して学んでみましょう！キング牧師は、長年黒人の権利を求めて活動を続けてきました。そして、1964年にはその功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞します。キング牧師の次なる目標は、「黒人の選挙権保証」でした。当時のアメリカでは、法律上は黒人も選挙権を持てる仕組みになっていました。しかし、実際のところは役所の白人が黒人の有権者登録を妨害し、黒人には白人と同等な選挙権がありませんでした。そこでキング牧師は、演説やデモ行進を行い、国民に人種差別の解消を訴えかけます。しかし、人種差別主義者によるキング牧師や黒人に対する攻撃は、勢力を増していきました。彼の家族の元には、「お前の子供を殺すぞ！」という脅迫の電話が毎日のようにかかってきたり、また黒人の仲間がたくさん殺されたりと、様々な苦しみに耐えながら、それでもキング牧師は闘いを続けていくのでした。この映画は、キング牧師が行ってきた活動を、実話を元に描いています。キング牧師について興味がある方は、この映画を見れば、彼の生き方や活動の大部分は学べるのではないかと思います。黒人が平等な権利を求めて闘う姿はとても感動的で、映画としても非常に面白いです。1960年代は、人種差別の解消の動きが最も盛んな年代であったと言えます。その時代に黒人がどれほど危険な目に合い、それでも活動を続けてきたのか。多くのものを犠牲にしてでも人種差別と闘う黒人の強さや、危険を顧みずに彼らを支援する白人の姿に胸が熱くなります。だんだんと国民が一つになっていく様子に、時代の大きな変化を感じる作品です！人種差別を扱っている作品は、シビアな内容のものも多く、見る方も少し構えてしまう時があります。正直もう少し気軽に見たいなあという時もありますよね…。そんな時、楽しく見られる作品がミュージカル映画の『ヘアスプレー』です。ぽっちゃり体型のトレーシーは、ダンスと歌が大好きな女子高生です。トレーシーは、若者向けの人気ダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」を見ることを毎日楽しみにしています。番組の出演者は全員が白人で、白人と黒人は一緒の舞台で踊ることができません。しかし月に一度の「ブラック・デー」の日は、唯一黒人が番組に出演することが許されているのでした。ある日、「コーニー・コリンズ・ショー」は新メンバーを募集し、トレーシーもオーディションに参加します。ぽっちゃり体型のトレーシーは始めは相手にしてもらえませんでしたが、その後彼女のダンスが認められ、メンバーの仲間入りを果たします。そんな中、月に一度の「ブラック・デー」が、廃止になることが決まり、黒人の間では「差別番組反対」のデモが開かれることになります。そしてトレーシーも、黒人たちに混ざってデモ行進に参加するのでした。『ヘアスプレー』は、『グローリー/明日への行進』と同じく1960年代のアメリカが舞台です。しかし、『グローリー/明日への行進』とはまた違った「エンターテインメント」の視点で描かれており、当時のテレビ番組事情などを知ることができて面白いです。また、登場人物の髪型や服装も可愛く、楽しく見られる作品だと思います。作品内では、白人と黒人が踊る時には間にロープが張られ、同じ場所では踊ることができなかったり、居残り教室には黒人の生徒しかいなかったりと、至る所で人種差別が描かれています。当時のアメリカでは、実際にこのようなことが行われていました。『ヘアスプレー』については、人種差別を扱う作品の多くは、主人公が黒人。白人は、人種差別主義の悪者として登場しています。しかし、この作品では主人公は白人です。白人と黒人の友情という珍しいテーマの映画で、心温まるとても素敵なストーリーになっています。アメリカ・ミシシッピ州に住むスキーターは、ライターを目指す白人の女性です。故郷の友人たちは皆、結婚や出産を終え、黒人のメイドに家事や育児を任せる気楽な生活を送っていました。特に友人のヒリーは、病気がうつると信じ込んで、黒人メイド用のトイレを屋外に作るべきだと話す始末です。スキーターにとって、黒人のメイドたちは自分を育ててくれた大切な存在であり、次第に彼女は友人の黒人メイドに対する態度に嫌悪感を感じるようになります。そんな時、スキーターは仕事で家事に関する記事を任せられるようになり、家事が得意な黒人のメイドから話を聞こうとします。しかし、そこでスキーターは、メイド達がひどい扱いを受けている現実を知るのでした。スキーターは、メイドたちの力を借りながら、黒人メイドの真実を綴った暴露本「ヘルプ」を出版しようとするのでした。幼い頃から黒人のメイドにお世話をされていた主人公のスキーターは、「黒人」というフィルターを通さずに、メイドたちを一人の人間として見ています。この作品は、1960年代後半を舞台としていますが、当時のアメリカでスキーターのような考えを持つ女性は少なかったと考えられます。しかし、スキーターのように、黒人を同じ一人の人間として見ている善良な白人もたくさんいたということを、この映画は思い出させてくれます。ちなみにスキーターを演じるのは、映画『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンです。映画の中では、「ジム・クロウ法」といって、白人と黒人を分離する法律が取り上げられています。黒人メイドの歴史や、白人と黒人が分離されていた歴史に興味のある方はぜひ見てみてください！また、この映画は人種差別について多くの知識を得られるということに加えて、コミカルなシーンもたくさんあって楽しく見ることができます。「人種差別とかはよく分からないけど、興味はある！」という人にもおすすめです！最後に紹介するのは、サプライズ・スリラー映画『ゲット・アウト』です。サプライズ・スリラーとはいうものの、お化けが出てきたり、ものすごく怖いシーンがあったりということはないので安心してください！高く評価されている面白い作品です。黒人の青年・クリスには、ローズという白人の恋人がいます。2人は愛し合っており、ある日クリスは彼女の実家に招かれ、共に夕食を食べたりと楽しい時間を過ごしました。しかし、クリスは徐々にこの家の異変を感じるようになります。この家で働いている黒人の家政婦や庭師の様子がおかしいのです。翌日、クリスはホームパーティーに参加することになりますが、ここでも異変を感じたクリスはローズにもう帰ろうと言います。しかし、ローズがクリスを家に帰してくれることはありませんでした。ローズ一家は、狂気に満ちた秘密組織だったのです。彼らは、死が近づいた白人の意識を黒人の体に移し変えて生きさせる手術を行っており、クリスもそのターゲットの一人だったのです。この映画は、人種差別の歴史などを描いているわけではありませんが、人種差別問題について知識がある人なら、100％楽しめると思います！映画の中では、昔の黒人差別を連想させるような伏線がたくさん散りばめられています。例えば、主人公の黒人クリスがローズ家のパーティーで黒人の青年・ローガンと出会い、拳を合わせようとするシーンがあります。クリスは握った手をローガンの前に差し出しますが、ローガンはそれには応じず拳を包むように握手をするのです。このシーンですが、実は拳を合わせる挨拶は黒人の習慣であり、白人にはその習慣がありません。これは、 ローガンの中身が黒人ではないことを暗示しているシーンですが、知らないとそのまま見過ごしてしまいますよね。このように『ゲット・アウト』には、黒人の歴史を知っている人なら意味が分かる伏線がたくさん登場しています。ぜひチェックしてみてください！この記事では、「人種差別」をテーマに扱っている映画を紹介しました。改めて、今の平和で平等な世界があるのは、勇気ある偉大な人々のおかげなんだと感じさせられます…。ぜひ、映画を見て過去の歴史に触れてみてくださいね！

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