https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/011000038/040300030 キャンペーンタグ第27回　実はコントロールされている合格者数　こんにちは、総合南東北病院の中山祐次郎です。　4月に入り、私は京都にやって参りました。福島県郡山市の総合南東北病院に籍を残しながら、京都大学大学院で学ぶために引っ越したのです。郡山から60万円以上もかけて引っ越した先は、京都市左京区の出町柳というところ。京都大学医学部に程近い、静かな街でした。ここで私はしばらくの間、社会人大学院生として公衆衛生学を学びます。社会人になって11年、ずっと現場でガリガリ働いていたので、久しぶりにまとまって勉強ができるのは楽しみであります。　さて先日、「医師国家試験」の合格発表がありました。新聞やニュースではあまり報道されませんが、医者の間では毎年話題になります。　あまり知られていないのですが、医師国家試験は毎年、合格率が90％前後なのです。他の資格試験と比べると、ずいぶん高い合格率ですよね。例えば司法試験（法科大学院からの合格率22.5％、2017年）や公認会計士試験（11.2％、同年）と比べてもかなり高い数字です。　なぜ、医者になるための医師国家試験で、これほど合格率が高いのでしょうか。かつて同じ試験を受けた者として、また医師として論じたいと思います。さらに今年受験した医学生さんにもインタビューし、最新の情報も盛り込みました。子女が医者に興味がある、あるいは医者にしたいという親御さんは必見です。　2018年3月19日に厚生労働省が　皆さんもよくご存じ、国内でもっとも受験難易度が高い東京大学理科Ⅲ類から進学した医学部のみなさんはどうだったか？　こちらは120人が受けて、108人（90.0％）が合格しています。なんと、全国平均を下回っているのです。最高峰の頭脳を持った学生さんでも、10人にひとりは落ちるというのは、読者の皆さんにとっても意外なのではないでしょうか。　東大医学部生が国家試験に落ちる理由は、3つあります。これは私の分析に加え、東大医学部卒の医師に直接インタビューした結果を踏まえています。Powered by 参考になった参考にならなかった昔の話です。同期の医学生は遊んでばかりでした。周りの皆が「そんなに遊んでいていいのか？　国家試験があるだろう？」　「国家試験なんて誰でも通るさ。卒業試験のほうがずっと大変だ！」一点、書き落としました。医学教育には莫大な税金が投入されていますから、医師数の需給調整は医学部入学定員を決めるところで行われます。一旦税金を投入した学生はできれば全員医師になって社会に利益を還元していただかなければ困るので、医師国家試験の段階で需給調整をすることは基本的な経済原則に反します。医師国家試験は資格試験である以上、相対評価ではなく、絶対評価が基本になっているのではないですか。この点、筆者が誤った推定をしておられるのではないかと危惧します。厚生労働省が合格ラインを毎年微妙に上下させるのは、医師数の需給調整をするためではなくて、試験問題の全体としての難易度（これは事前にコントロールできない）が年毎に変動するのに対して調整を行っているだけでしょう。記事を読む限り、勉強さえすれば、誰でも医師になれるような感じがした。「東大医学部卒業のものです．国試の合格率なんかよりも、消化器外科医として脂が乗るこの時期に臨床現場を離れて公衆衛生学を学という筆者の将来設計が気になります。内容と題名が切り離してあるので、筆者殿のプレゼン力と共に違和感も感じます。私の娘も今年受験し無事合格しました。東大医学部卒業のものです．試験が相対評価で、厚労省の裁量でいいのだろうか。雇用調整と資格は別物だと思うが。資格はあくまで基準を満たせば資格を得られるべき。役人の傲慢な発想ではないのか。国家試験には、勉強の他、医師の適性、という要素が加わってくるので、“医師の適性要素”によって落ちる人が出て来る事もあるのだろう。娘が5年前に試験を受けた時のことを思い出しました。勉強のしすぎかどうか分かりませんが、試験の直前に倒れて、自分が通う大学の病院に入院。最後の追い込みの時期に2週間を棒に振ることになりました。気落ちした娘は回診にきた教授の前でつい涙をこぼしてしまったとか。208点では299点中の８割に達しないのでは？我が家でも子供２人の３日間も行われる国家試験は本当に神経を使いました。ただ、記事を読んで最近の試験事情は筆者の頃と大分様変わりではないかとの印象を持ちました。何の知識も、調べもしないままの感想ですが、国家資格試験に実技が無いってことでしょうか？　それは研修医になってから積む経験が全て？　いや、よく医療マンガとかで「研究ばかりで手術が下手な大学教授」とか登場するので気になりますね。　誰もが手術を伴う部局を選ぶわけではないのでしょうが、同じく生命に関わりかねない自動車免許だって実技試験があるのに。　研修医になった果てに、実技がダメだから資格剥奪、というわけでもないのですよね。「良質な」医師の養成は、世界中、いずれの国でも難問らしく、医学教育の課程全体をかけて行おうというものから、国家資格によって、質の担保をしようというのまで、いろいろあるようで、それぞれに、背景にある社会観人間観が反映しているようである（ということを、数年前の秋、東大であった国際シンポジウムで学んだ。代表者は、北大医学部の医学教育の人だったが、報告書が出ているかどうかは、小生は、医学の素人でもあり、知らない）。印象に残ったのは、まず、医学生のリクルートに難しさがあることであって、医学の基礎教育をこなすための学力に重点を置くことと、医師としての職業生活における成功（よい治療の提供）との相関が高くないことの指摘であった。「コミュ障」云々が理由かというと（もし、そういう可能性があるなら医学教育のカリキュラム編成で、対応すべきことのはずだが）、少なくとも医学生リクルート段階での「面接試験」は医師の適性との相関が低いとのことであった（カナダの例）。日本の場合、このような医学生リクルートから医師国家試験の出題趣旨や職業生活における適合性に関する詳細な研究はないようで、医師の国家試験の難易度やご指摘の「合格率調整」も裁量行政的な手探りで行われているのだろうか。しかし、記事中にもあるように「医師一人を養成するのには莫大なお金がかかり、一説では2億円とも3億円とも言われます。そんなコストのかかる医師を、過不足なく10年後（一人前になるには医学部6年＋4年くらいかかります）に生み出すために、国家試験合格率を設定しているのです。」から、しかも、これは国公私立を問わず、多少の軽重はあっても、国税が投入されているのである。医学部神学生は、国家試験に早々に合格して、医師としての職業生活に励み、納税者に恩義を返してもらわなければならない。医学生の都合で、国家試験が難しいの易しいのということではない。かれらは、合格する義務があると思うべきである。まして、自治医、防医、さらに、地域枠で地方自治体提供の助成を受けた学生は当然であろう。現役の外科医（2017年2月～3月は福島県の高野病院院長）として働く筆者が、時事ニュースをメスで切り込んだ解説や、健康や病気…ビジネストレンド [PR]Talend“クラウド”データウェアハウスが、企業が生き残るためのカギをにぎるPhotosynth４０００社が導入済み　遠隔ワークの新常識日経ビジネス電子版　Special日経ビジネス 創刊50周年企画Facebook Japan岸博幸氏と語るデジタル・プラットフォーマー規制日本マイクロソフト専門家に訊くテレワーク定着“3つの軸”ServiceNow Japan自治体のDXの先にある新しい社会Facebook JapanWithコロナ時代の新たな働き方KPMGジャパン危機後の大再編時代、好機をとらえる海外Ｍ＆Ａ戦略アドビアドビが描くデジタル変革FUNDBOOK躍進のFUNDBOOK、そのM&A仲介モデルとは？最新号2020年7月20日・27日号Booksデータから“真実”を読み解くスキルViewsViews池松由香のニューヨーク発直行便小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ～世間に転がる意味不明フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える1分解説Booksグルメサイトという幻Booksデータから“真実”を読み解くスキルViews池松由香のニューヨーク発直行便グルメサイトという幻Books岡田達也のインダストリー羅針盤ベンチャー最前線1分解説Viewsフェルディナント・ヤマグチの走りながら考える小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ～世間に転がる意味不明Viewsデータから“真実”を読み解くスキル河合薫の新・社会の輪　上司と部下の力学コロナ後の中国フェルディナント・ヤマグチの走りながら考えるBooksBooks世界展望～プロの目Views池松由香のニューヨーク発直行便1分解説グルメサイトという幻藤中潤の「あなたに代わって調べます」Views池松由香のニューヨーク発直行便グルメサイトという幻岡田達也のインダストリー羅針盤1分解説コロナ後の中国世界展望～プロの目Views池松由香のニューヨーク発直行便外食ウオーズ日経ビジネス電子版のコメント機能やフォロー機能はリゾームによって提供されています。Copyright © 2020 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.各業界に精通した※日本ABC協会2018年度認証部数（ビジネス分野）有料会員限定記事各業界に精通した※日本ABC協会2018年度認証部数（ビジネス分野）「誌面ビューアー」は、紙の雑誌と同じレイアウトで記事を読むための機能です。ウェブブラウザーで読みやすいようにレイアウトされた通常の電子版画面とは異なり、誌面ビューアーでは雑誌ならではのビジュアルなレイアウトでご覧いただけます。スマートフォン、タブレットの場合は専用アプリをご利用ください。 「クリップ機能」は、また読みたいと思った記事や、後からじっくり読みたいお気に入りの記事を保存する機能です。クリップした記事は、メニューから「マイページ」を開き「クリップ」を選ぶと一覧で表示されます。 日経ビジネス電子版では、閲覧を制限している状態を「鍵が掛かっている」と表現しています。有料会員としてログインすると、鍵の有無にかかわらず全ての記事を閲覧できます。登録会員（無料）でも、月に一定本数、鍵付き記事をお読みいただけます。 記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 記事末尾の「投票」ボタンを押すことで、その記事が参考になったかどうかを投票する機能です。投票できるのは1記事につき1回のみ。投票の結果はすぐに反映され、トップページの記事リストなどにも表示されます。評価の高い記事を選んで読むといった使い方ができます。 「この連載の続きが読みたい」「この議論の展開を見届けたい」と思った時に便利な機能です。「連載をフォロー」「シリーズをフォロー」は、その連載の新着記事が配信された際に、「議論をフォロー」は、その議論に新しいコメントがついた際に通知されます。

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